入力文の一部の形態素情報が既知である、あるいは境界がわかっているときに、 それを満たすように解析する機能です。
たとえば、「にわにはにわにわとりがいる。」という文に対して、 「はにわ」の部分が名詞であるとか、「にわとり」の部分が一つの形態素 であるというように指定した上で解析することができます。このとき、 制約に反する4文字目の「は」が単独で形態素となったり、「にわとり」が「にわ」と「とり」 に分割されるような解析候補は排除されます。
MeCabのデフォルト出力と同じようなフォーマットで制約を記述します。 MeCabは -p (--partial) オプション付きで起動する必要があります。
各行は以下のいずれかに該当します.
表層\t素性パターンという形で表記する必要があります。\t がない場合は文断片として処理されます。
CSV で記述します。* をワイルドカードとして使うことができます。
品詞の部分に * が指定されると、その単語で切り出し、品詞は適当に最適なものを付与します。
にわ * に * はにわ * にわとり * が * いる * EOS
品詞そのものを指定することができます。( "*" はワイルドカード)
にわ * に 助詞 はにわ * にわとり * が 接続詞 いる *,非自立 EOS
品詞のカラムを指定しないと、そのトークンは文断片となり、制約がないときと同じように解析されます。ただし、文断片をまたぐような形態素は出力されません。
にわ には にわ にわとり がいる EOS
制約付きの解析は、未知語処理を含め可能な限りラティスを作って、制約を満たさないものを枝刈りするという方法で実装されています。 もし制約を満たすものが一つもない場合、ダミーの形態素を作成します。ただしダミーの形態素の品詞情報(素性)は 制約の情報がそのまま使われます。以下の例では「こんな長い入力を一形態素にしてみる」を 動詞の一形態素と指定していますが、動詞を生成するような未知語処理ルールが存在しないため、制約の品詞をそのまま出力しています。
% mecab -p こんな長い入力を一形態素にしてみる 動詞 EOS こんな長い入力を一形態素にしてみる 動詞 EOS
-pオプションを用いた場合、任意の場所に単語境界が存在しない・必ず存在するといったような 細かな制限は行えません。より細かい制御を行いたい場合は、Lattice::set_boundary_constraint, Lattice::set_feature_constraint APIを用います。
MeCab::Lattice *lattice = MeCab::createLattice(); // boundary の指定 (byte単位で指定) lattice->set_sentence("thisis"); // |this|is| で分割されるように強制 lattice->set_boundary_constraint(0, MECAB_TOKEN_BOUNDARY); lattice->set_boundary_constraint(1, MECAB_INSIDE_TOKEN); lattice->set_boundary_constraint(2, MECAB_INSIDE_TOKEN); lattice->set_boundary_constraint(3, MECAB_INSIDE_TOKEN); lattice->set_boundary_constraint(4, MECAB_TOKEN_BOUNDARY); lattice->set_boundary_constraint(5, MECAB_INSIDE_TOKEN); lattice->set_boundary_constraint(6, MECAB_TOKEN_BOUNDARY); tagger->parse(lattice); // feature の指定 (byte単位で指定) lattice->set_sentence("thisisatest"); // |this|is|a|test| で分割され、かつ品詞大分類をすべて名詞にするように強制 lattice->set_feature_constriant(0,4,"名詞"); lattice->set_feature_constriant(4,6,"名詞"); lattice->set_feature_constriant(6,7,"名詞"); lattice->set_feature_constriant(7,11,"名詞"); tagger->parse(lattice);